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認知症への理解
認知症への理解

認知症への理解

「認知症」とはどういうものか

認知症とは、脳細胞が壊れることで引き起こされる様々な症状の総称です。脳は記憶、思考、判断、運動まで、私たちの活動のすべてをコントロールしていますから、細胞が壊れることで、様々な障害が現れてきます。細胞が壊れる原因として多くの病気が挙げられますが、特に影響が多いのが「アルツハイマー病」と「脳血管障害」です。
認知症になると、記憶が失われる、時間や季節が分からなくなる、今いる場所が分からなくて迷子になる、子供を親と間違えるなどの症状が現れます。現実を認識できなくなることや病気への不安から、うつ状態、徘徊、失禁、妄想などが出ることもあります。最後に、運動能力が低下し寝たきりになります。現在、認知症の治療薬はありませんが、進行を遅らせ、症状を緩和させることはできます。

認知症の原因となる病気

認知症のほとんどは「アルツハイマー型」「脳血管障害型」「レビー小体型」であり、これらを認知症3大疾患と呼ぶこともあります。高齢者のアルツハイマー病には脳血管障害型との混合型も見られ、この場合は症状が複雑になります。また、65歳未満で発症する若年性認知症では、脳血管障害が原因のトップになります。認知症を引き起こす病気の多くは治療法が見つかっていませんが、中には治療可能なものがあります。
認知症は原因となる病気が異なれば症状も細かく異なってきます。例えば、ピック病は記憶障害が表われませんが、性格変化、万引きなどの異常行動で対人関係のトラブルなどを発生させます。

アルツハイマー型認知症の特徴と介護

認知症患者の半数以上がアルツハイマー型であると言われています。原因は現在でもわかっていませんが、有力な説として脳の中のアミロイドβタンパク原因説があります。
βタンパクは、脳細胞の活動の結果つくられるゴミのようなもので、通常は酵素によって掃除されます。しかし何らかの要因で酵素が減ると、βタンパクがたまり始めます。アルツハイマー病患者の脳には、老人斑のように見える茶色のβタンパクが多いです。アルツハイマー病患者の脳は、老人斑が広がり、空洞が増え、全体的に委縮します。ただし、老人斑があり、脳の萎縮が見られても発病しない人が多く、さらなる解明が待たれます。

アルツハイマー病は、いつ発病したのかはっきりわからず、初期はなだらかに進行します。脳の浸食が記憶を担当する海馬から起こるため、近い記憶ができない物忘れから始まるのが特徴です。さらに、時間が分からなくなり、自発性が低下します。
やがて言語の障害が始まると、様々な混乱が生じます。古い記憶が失われ、判断力がなくなります。この時期には、暴言、徘徊、幻覚、妄想などの周辺症状と呼ばれるものも見られます。
終末期には、起きて生活することができず、寝たきりになります。統計的には発病から約8年で最期を迎えます。
介護面から言えば、集団活動になじみやすいため、デイサービスなどを利用しやすいという特徴があります。なじみの仲間や場所で過ごすと心が安定する傾向があります。

脳血管性認知症の特徴と介護

脳血管性認知症とは、脳梗塞や脳出血などによって脳細胞が損傷することで起こります。アルツハイマー型と比べて、男性が多いとされています。
脳波場所ごとに相当する機能が違うため、どこで血管障害が起こったかによって症状が異なります。例えば、記憶障害は深刻だが、判断能力は問題ないような「まだら症状」が起こります。人格も後期まで保たれることが多いと言われています。
経過は、発作のたびに段階的に悪化します。再発作を起こさないように注意することで、進行を予防することができます。発作の原因となる高血圧や糖尿病を治療し、急激な環境の変化などによるストレスを避けることが有効です。血管障害によって失われた機能は、リハビリによって症状が改善することがあります。
集団生活を嫌がり、こもりがちになると認知症をさらに悪化させてしまいます。発症後も健康管理やリハビリを積極的に行うことが大切です。

レビー小体型による認知症の特徴

これまでアルツハイマー型や脳血管性だと思われていた認知症の中に、びまん性レビー小体病によるものがあることが分かってきました。びまん性レビー小体病とは、大脳皮質の神経細胞に「レビー小体」という特殊な構造物が出現する病気です。レビー小体型認知症では、パーキンソン病と同じような症状が出ます。現れ方には個人差があります。
レビー小体型認知症の最大の特徴は、初期に幻視や錯視が起こることです。本人はおかしいとわかるが、おびえて被害妄想になり、興奮して攻撃的になることがあります。また睡眠障害もあり、これらの症状のため、精神科にかかることも少なくありません。

若年性認知症の特徴と介護

認知症は高齢者の病気というイメージが強いのですが、若い世代でも発症することがあり、若年性認知症と呼ばれます。若年性認知症の特徴は進行が早いことで、早く発見できれば進行を遅らせることができます。なるべく早く医療機関を受診しましょう。
厚生労働省が行った家族への調査では、最初に気づいた症状では「物忘れ」「行動の変化」「性格の変化」「言語障害」です。行動・性格の変化とは、それまでと比べて自己中心的になったり、他人への配慮がなくなったりします。おかしいと思ったら専門医を受診し、脳の検査を受けましょう。
また、若年性認知症は働き盛りでの発病であるため、家族の経済的、精神的負担が大きいことも特徴です。コールセンターや市区町村の窓口に相談して負担を抱え込まないようにしましょう。

治療可能な認知症もある

アルツハイマー病などによる認知症は根治治療ができませんが、認知症の原因となる病気には治療可能なものもあります。
治療可能な病気は認知症全体の約1割を占めると言われています。これらの病気であっても、進行が進むと治療が難しくなり、脳の機能低下が進んで回復できなくなります。早期発見・早期治療が重要です。
アルコール中毒も認知症の原因の1つで治療が難しいですが、不可能ではありません。専門の医師とよく相談して治療に当たりましょう。
認知症の疑いがあって受診した場合、医師は検査をして原因となる病気を探り、治療法を決めます。このとき、原因が治療可能な病気であれば治療します。恐れず、まず受診しましょう。

認知症に間違われやすい病気

認知症は脳細胞がこわれることで起こるさまざまな症状の総称ですが、まったく別の原因で同じような症状が起こることがあります。
例えば、老人性うつ病は、元気がなくなり記憶力などが低下するので、初期の認知症と間違えやすいです。また、老化と初期の認知症の区別は難しいです。年をとれば、記憶力や心身の機能が衰えます。迷ったら、いきなり大きな病院に行くのではなく、かかりつけ医に相談してみましょう。

認知症の検査と治療法

医師に診てもらうと、まず家族への問診があるので、受診には家族が付き添うようにします。聞かれる内容は、本人の生活歴、家族構成、既往歴、生活習慣、日常生活、現在の状態などであらかじめ準備しておきます。次に、本人への問診があります。記憶力や知的能力を見る簡単な心理検査が行われます。
かかりつけ医があれば、本人が緊張しないで診察が受けられるのでなじみの医師に診てもらうのがいいでしょう。認知症の疑いがあれば、専門医に紹介状を書いてくれますし、本人の状態なども専門的に伝えてもらえるので適切な治療が受けやすいです。
かかりつけ医がない場合、インターネットで病院を探します。最近は物忘れ外来がある医院・病院が増えています。脳神経内科でも対応してくれます。

認知症で現れる症状2つのタイプ

認知症の症状はだれにでも共通の「中核症状」と個人差がある「周辺症状」に分けられます。中核症状には、記憶が失われていく、時や場所が分からなくなる、理解や判断力がなくなるなどの症状があり、徐々に進み、最後は寝たきりになります。
周辺症状には、うつ状態、幻覚、徘徊、失禁などが挙げられます。徘徊や失禁などの問題行動については、介護者に大きな負担を与えますが、後期になれば運動能力が衰え見られなくなります。
進行は高齢者の場合はゆっくりですが、65歳未満の若年性認知症は進行が早く5年ほどで後期症状に達することがあります。

「中核症状」の特徴と認知症への理解

中核症状とはどういうものか

多くの認知症は記憶障害から始まります。まず最近のことが思い出せなくなります。ゆっくり考えれば思い出す場合は、老化ですから心配ありません。
記憶のしくみは複雑で、最近のことは思い出せなくても昔のことは覚えています。自転車の運転など体が覚えていることは、後期になってもできる場合が多いです。
時間や場所など自分の居場所を把握する見当識も徐々に失われていきます。見当識障害については、言動から周囲は気付くことになります。ところが、目印が分かりにくい夜間には迷うようになり、やがて昼でも迷うようになります。

大切な中核症状への理解

脳の様々な部分が壊れてくると、日常生活に支障が出てきます。しかし、初期のうちはできることがたくさんあるので家族がサポートして、日常生活を営めるようにしましょう。

介護者が経験する「受容」までのステップ

家族にとって気持ちの切り替えは大変なことですが、ケアマネージャーなどと相談し、本人の気持ちや感情を理解し関わります。一般的に介護者は次の4つのステップを経て、家族の認知症を受容できるようになります。

第1ステップ:とまどい・否定
第2ステップ:混乱・怒り・拒絶
第3ステップ:割り切り
第4ステップ:需要

受容は、認知症への理解が深まり、本人の心理が分かるようになり、本人のあるがままを受け入れられるようになることで、介護者も本人も落ち着いた状態になります。なるべく早く受容することが介護者の大きな目標になります。

認知症特有の「周辺症状」への対応のしかた

周辺症状とはどういうものか?

記憶障害や見当識障害、実行傷害などの中核症状に付随して現れる「周辺症状」は個人によって異なり、認知症が進行するプロセスで、生い立ちや性格、生活環境、職業歴や嗜好などの個人の特性が影響します。
認知症の人の幼少期の生活や暮らしぶり、体験を把握していると、本人がどの世界に生きているかを知る手がかりになります。男性は職業体験、女性は子育て経験が行動に出やすいと言われています。
また、性格も家族に見せているのと社会とでは姿が違うことがあります。疾患が影響すると、気難しさや怒りっぽさに家族が戸惑う場面も多くなります。

周辺症状への対処のしかた

周辺症状は認知症の初期から現われ、中程度になるとより極端になり、家族はつらい思いをすることが多くなります。医師に相談するとともに、訪問看護や通所介護でのプロの対応のしかたを見学することで、家族間で工夫しましょう。
具体的な周辺症状の1つが不安症状です。日常生活の失敗から自信を無くし、うつ状態のような落ち込み方や自分へのいらだちから怒りっぽくなります。また、幻覚、情緒障害、睡眠障害などの症状を示します。
2つ目が問題行動です。見当識障害から徘徊して帰宅できない、身近な人に暴力をふるい暴言を吐く、尿意・便意が分からず失禁する、異常な食行動、不穏な行動、卑猥な発言や行動などがあります。

「日常生活自立支援事業」を利用する

認知症の人は症状が進むと計算などが困難になり、大きな損害を被ることがあります。認知症の高齢者の財産を守り、スムーズな日常生活が営めるように支援する公的なサービスが「日常生活自立支援事業」です。福祉サービスの手続きや日常生活の金銭の管理を代行してくれます。
本人と地域の社会福祉協議会の契約によってサービスが行われますが、契約を結ぶ能力のある間に申し込んでおきます。少額の生活資金の管理や簡単な契約行為のサポートなどを望む高齢者に向いています。

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