ホームページ / 介護のノウハウ / 介護事故とトラブル / 生命の危機「誤嚥事故」を防ぐ方法(前編)
カイゴジョブ
生命の危機「誤嚥事故」を防ぐ方法(前編)
生命の危機「誤嚥事故」を防ぐ方法(前編)

生命の危機「誤嚥事故」を防ぐ方法(前編)

誤嚥事故のリスクはどこにあるか?

「転倒や転落事故」以上に危険なのが「嚥下事故」です。
食べた物や飲んだ物が気道に入ってしまい、それがもとで肺炎を引き起こし、時によっては、肺炎から死につながってしまうという恐ろしいものです。
何故、嚥下がうまくいかなくなるのか、その主な原因は、「嚥下反射」が衰えているということです。嚥下反射とは、「ものを反射的に飲み込む力」のことを言います。
介護職員として頭が痛いのは、飲み込みがうまくいかなかったことと、肺炎との因果関係が証明しにくいケースがあるということです。
「嚥下反射」の能力が衰え、食べ物が気道に入ってしまう場合のほかに、口の中に残っている食べかすが、唾液とともに肺に回ってしまうということもあります。

これを防ぐには、一定時間を決めて、しっかりと口腔ケアをしなければなりません。また、食事の形状に気を配ることも大切です。食事時の見守りだけでは、嚥下事故のリスクを防ぐことは出来ません。
また、誤嚥を防ぐには、言語聴覚士(ST)や栄養士や看護師との連携が重要になってきます。
一人のケアワーカーやホームヘルパーの力だけでは、誤嚥を防ぐことが出来ません。あくまでも、チームケアを基本とすることが大切です。

本人リスクの情報の共有が大切

事故防止の3原則に従って、まず、「誤嚥事故」の「本人リスク」について考えてみます。
人が食べ物や飲み物を飲み込むとき、「嚥下反射」によって、食べ物や飲み物が、気管や肺に入らないように、軌道の入り口をふさぎます。
年齢とともに「嚥下反射」能力が衰える人もあり、さして衰えない人もありあり、個人差があります。
けれども、脳血管障害による麻痺があった場合には、確実にリスクは高まります。
また、認知症になると、「食事をとる」ことに対する認知も少なくなります。
うつ状態の場合にも、「食べること」への集中力が低下します。
服薬によって、嚥下反射が鈍くなる場合もあります。

こうした心身の状態を、事前に、専門職の人が、徹底的にアセスメントしておく必要があります。
そしてそれを、現場の介護職が理解し情報を共有するように努めねばなりません。
「嚥下反射」と言っても介護職の人の中にも、ピンとこない人もあるかも知れませんから、事前に専門職を招いて勉強会をするといいと思います。
その時、嚥下の瞬間のエコーやレントゲンの画像を見るのも一つの方法でしょう。

介護職員の「気づき」が事故を未然に防ぐ

専門職による事前のアセスメントだけで、本人の「心身のリスク」を把握できないケースがあります。
例えば、「血栓性脳梗塞」の場合など、症状がゆっくりと進むので、「脳血管障害の既往症」がない人の場合、それを見落としてしまう時があります。
常に専門職がいる施設なら、まだ気づきも早いのですが、在宅で訪問介護を受けている場合には、嚥下反射に支障がおこっていても、それに気づかない場合があります。それで、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

そこで重要になってくるのは、利用者に身近に接しているホームヘルパーです。
訪問介護以外にも、グループホームでは、看護師が常駐していないので、介護職員の人のいち早い気づきが大切です。
急にろれつが回らなくなったり、ぼーっとしたりする症状が見られた場合は、すぐに事業所の管理職や家族や主治医にそのことを伝えねばなりません。
業務日誌やケース記録には、利用者の日々の言動や表情が書きこまれていると思いますが、それが緊急を要するものという認識がないと専門職に報告する前に食事をとってしまったりするミスが出てきます。
この場合、「血栓性脳梗塞」という病気の知識があれば、すぐ専門職に報告するでしょう。
知識を持っているかどうかでリスクの度合いが大きく変わりますから、事前に知識を身につけることが非常に大切になってきます。

利用者の生活を知れば「誤嚥事故」が防げる

誤嚥事故の「本人リスク」を考える時、「生活」習慣を視点に入れなければなりません。
利用者の中には、ゆっくり食べる人や、かきこむように食べる人がいます。
ゆっくり食べる習慣の人は誤嚥リスクが少ないのですが、かきこむように食べる人は、誤嚥リスクが高まります。
利用者が「かきこみ型」と事前に分かっていれば、食事の見守りの時「こっちのおかずもおいしいですよ」と声をかけてお箸の動きを止めさせるとか、お茶を勧めたりしてゆっくり食べさせることが出来ます。

また、食事のあとすぐに横になる習慣がある人がいます。
そういう人は食べ物が完全に胃に入ってない場合があり、体が弱っている人の場合に食べ物が逆流してそれが気管に入ってしまうというリスクが高くなります。
もしも、利用者が、食べた後すぐに横になる人と分かっていれば、意識的に会話を仕掛けたり、口腔ケアに時間をかけてしたりして、食べ物の逆流を防ぐことが出来ます。
このとき、どんな話をすれば利用者に興味を持ってもらえるか、事前にその人のことをよく知っていればすらすらと話のタネがわいてきます。
ここでも利用者の趣味や趣向や生活全般のことをよく把握していることが、事故リスクを減らす大切なポイントとなるのです。

認知症特有の「誤嚥リスク」に注意

認知症の人の誤嚥事故を防ぐには、特に2つのことに注意しなければなりません。
一つは異食、つまり食べ物でないものを口に入れてしまうリスクです。
異食を防ぐには、認知症の人の周りには、口に入れそうなものを置かないことが大切ですが、そう完全にそれを実行できるものではありません。
そこで、食べ物でないものを口に入れたと介護者が気づき、吐き出させたとしても、例えばティッシュペーパーだったら、ペーパーの残りかすが口の中に残ってしまうことがあります。
その残りかすを、誤嚥してしまうことがあるのです。
ですから、異食行為があったら、必ずその場で口腔ケアをしなければなりません。

もう一つ注意することは、認知症の人は食事時であっても今自分が食べ物を口に入れているということが認知できず、そのまま息を吸おうとして食べ物を気道に吸い込んでしまうという事故が発生しています。
認知症の食事の見守りには食事の間中目を離さず口が動いている間は、時々口を開けてもらって食べモノがまだ入っているかどうか確かめる必要があります。

利用者の食事中の些細な変化にも気を付ける

普段は正常に食事をとっている人でも高齢者は嚥下能力が衰えているので、ふとしたはずみに誤嚥事故を起こすリスクをかかえています。
プロであるなら、こうした救急の事態に対処する知識を持っていなければなりません。

まず、ちょっとした食事中の利用者の変化に気づく能力を持っていなければなりません。
例えば急に顔色が変わったり、表情がおかしかったり、声色が変わったりするケースがありますが、その時は気道に食べ物が回りかけていたり、喉が詰まっていたりすることがあります。
高齢者の場合は、反射神経が衰えているので、若い人のように激しくむせたりする力がなく周りの者が誤嚥に気づくのが遅れます。

よく誤嚥事故で、利用者が「ガラガラ声になった」と聞きますが、その時は先ず空のスプーンなどを口の中に入れ、唾液を出させて飲み込ませます。
更に、咳払いを促します。
認知症の人の場合は介護者自身が大げさに咳払いをして、それをまねてもらうようにします。
それでもまだ声の調子がおかしければ、入れ歯があれば入れ歯を外し、大きく口を開けてもらいます。
そうして指にガーゼを巻いて、詰まった食べ物を取り出します。その後すぐに、医師や上司に連絡しなければなりません。

きらケア派遣

注目の記事

介護現場でのドラブル防止(後編)

介護現場でのドラブル防止(後編)

介護現場で、利用者の所有する財 …

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です