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問題行動への対処(後編)
問題行動への対処(後編)

問題行動への対処(後編)

問題行動を起こすようになっても問い詰めても意味がありません。認知機能が低下しているため、「なぜいけないのか」ということが理解できないからです。相手のことばを否定したり、叱ったりしたら信頼関係が損なわれます。症状の悪化や新たな問題行動のきっかけになることもあるので、介護者は冷静に受け止める必要があります。
冷静に受け止めたら、問題行動がどんな時に出やすいか、その原因を取り除きます。何に対して不安や不満を抱いているのか、体調が原因なのか観察します。また、暴力など危険な行為があったら、周囲の危険物を除去するなどの対処をします。エスカレートするなら、病院で薬物治療などによって抑制する方法もあります。
嫉妬妄想が高じて、大きな声を上げるようになっても、介護する家族全員が情報を共有し、「病気の症状」と認識して静観するのも1つの方法です。

家族がわからない

1ヶ月に1度、実家の父親をたずねていますが、子どもである私の名前が分からなくなりました。他人と間違えることもありますが、同居する兄夫婦の名前はわかるようです。

原因

見当識障害が進むと、家族など身近な人を見分けられなくなったり、知り合いだと思いこんだりします。多くの認知症患者に見られます。

対処法

家族が分からなくなるのは認知症の人ではよく見られる症状です。家族は、いずれそうなると覚悟して、分かるうちにコミュニケーションを十分にとりましょう。あらかじめ覚悟をしておけば、ショックを小さくすることができます。

介護を拒否する

1人ではできないのに、子どもの私が手伝おうとすると拒否します。転びそうになることもあり、危険で見ていられません。介護を受け入れてくれないと、日常生活に支障をきたします。

原因

まだ自立した生活ができると思っているのに、手伝われると自尊心が傷つきます。そんなに衰えていたのかと不安も募ります。

対処法

まず、1人でできないと介護者が感じていることが正しいかどうか、本人の様子をよく観察することが大切です。本当はできるのに、家族が介護していることもあります。
認知症による介護拒否であれば、本人の自尊心を傷つけないことを第一に考えましょう。認知能力は低下しても、自尊損は残ります。また、介護そのものの意味が分からずに、不安から拒否する人もいます。
本人にとって適切でない介護を行っている可能性がありますので、専門職に別のやり方をアドバイスしてもらい、試してみましょう。

突然大声で叫ぶ

母は気に入らないと大声で叫びます。その頻度が増えているようで心配です。夜も眠れないと興奮し、乱暴な言葉を発します。家族だけでなく近所にも迷惑なのでやめさせたいのですが。

原因

脳の病変によって、実際には怒っていない事態に興奮して大声を張り上げます。異常な興奮は、幻覚症状が出やすいレビー小体型の認知症患者に多い症状です。

対処法

多弁や言葉の激しさは女性に多い特徴です。大声を張り上げているときに、介護者も大声で対応するのは最悪です。落ち着くまで待つか、静かに声掛けをします。ほとんどの場合、家族にはわからない興奮の引き金となった原因があります。他人のことば・疎外感・被害者意識が粗暴行為を起こしている原因となっていることが多いです。
大声による実害がなければ見守るのも方法の1つです。夜間の大声で困る場合、昼間の運動や散歩によって夜の睡眠を促すのも効果的です。興奮状態が続くようなら、医師に相談し治療を受けさせましょう。

暴力行為に及ぶ

父はイライラが募ると、興奮して暴力をふるいます。もともと穏やかな性格で、家族に手を上げるなど一度もありませんでした。いくら認知症でも、こんなに変貌するのでしょうか。

原因

自分の思うようにいかない事態になると、不安から興奮状態になります。レビー小体型の認知症の患者は幻視や錯視から、興奮状態になりがちです。

対処法

まず暴力による被害が拡大しないようにします。周辺に包丁や棒など、凶器になるようなものがあれば隠します。いきなり力ずくで取り押さえようとすると興奮をあおることになりますが、物を投げたりして危険な場合は数人で抑えます。
次に、なぜ興奮して暴力行為に及んだのかを探り、原因となった行動をやめたり、環境を改善したりすることで暴力行為を抑制することができます。
原因が体調によるものであれば、痒みや痛みを抑える治療をします。それでも暴力行為が続くようであれば医師に相談しましょう。

排泄の失敗をくり返す

トイレ以外のところで排泄をしたり、おもらしをしたりします。尿意や便意を感じなくなっているようです。わざとではないので、失敗するたびにプライドが傷つき、元気を失います。

原因

トイレがどこか分からなくなり、おむらしをします。尿意や便意が感じにくくなっています。

対処法

失敗しても叱らないことが第一です。叱られた記憶だけが残り、関係が悪くなります。また、失敗した記憶が残ると、今度は汚れた下着を隠すようになります。
失敗を防ぐには、部屋をトイレの近くにすることです。トイレの近くにすることですぐに探せない失敗を防げます。食事の後や就寝前など、決まった時間にトイレに誘導すると、確実に失敗が減ります。
紙パンツを使用する、トイレの床にシーツを敷くなど失敗を前提に用意しておくのも1つの方法です。解除の仕方によって減らせるので、ホームヘルパーなどプロの技を盗むことをおすすめします。

大便をなすりつける

便意を感じると、お尻をもぞもぞさせます。トイレで大便を指でほじくり出し、指についた大便を壁になすりつけます。ポータブルトイレの便をすくい取り、食器棚に隠したこともあります。

原因

認知症が進むとにおいなどが分からなくなり、便が不潔なものだという認識が薄くなります。まわりを汚すのは自分の手についた便を壁などにこすりつけて取ろうとするからです。

対処法

便をいじる周期を見つけることです。本人にできにくくなっている排泄のコントロールを介護者が行います。便をいじりそうになったら排便の介助をします。便をいじる原因として便秘が多いので、官庁やお腹のマッサージで便が出やすいようにします。
また脱水やかゆみなどの身体的なもの、不眠や家族への不満が原因で、便をいじることがあります。便をいじる原因を突き止めることが大事です。

目を離すといなくなる

目を離すと外に出て帰りません。先日は20キロも離れた町で保護されました。本人はケロリとしていますが、事故が心配です。現在の家を住まいと思っていないらしく「家に帰る」がくちぐせです。

原因

徘徊は周辺症状の代表といわれています。あてもなく歩くのではなく、目的があって歩き回ります。多くは自分の家が認識できず、「家に帰りたい」という願望から家探しの旅に出ます。

対処法

徘徊は比較的、身体機能の低下が少ない元気なお年寄りに多いようです。体力のあるお年寄りなので、事故に遭うのが心配です。夜中に出ることもあるので、玄関にセンサーやベルなどを設置する方法が有効です。
市区町村の高齢者福祉サービスの「徘徊高齢者緊急ネットワーク」などに登録しておけば、行方不明になったとき、スピーディーに役所や警察の協力が得られます。
一般的に夕方に落ち着かなくなる要介護者が多いようですが、安定している時間、落ち着かない時間を把握しておき、落ち着かなくなったら徘徊を警戒しましょう。

店のものを盗んでくる

ふらりと外に出ると、店の商品を持ってきてしまうことがあります。すぐにどこの店か探して対処しますが、店に迷惑をかけるので気が引けます。家に閉じ込めておくこともできないので困っています。

原因

認知症により、他人のものと自分のものの区別がつかなくなっていきます。いくら叱っても自覚がないので謝罪することはありません。

対処法

前頭葉から側頭葉にかけて脳が委縮する「ピック病」は、万引きなど非社会的な行為を引き起こす原因になることがあります。認知症の場合も症状が進むと自分と他人のものが区別できなくなります。自分が悪いことをしたという自覚がないので、いくらせめても反省することはありません。何を言っているのか理解できないまま、攻めた相手への不信感だけを募らせます。
家族は非社会的行為に慌てることが多いですが、病気が原因であることを思い返します。問い詰めないで、家族が説明・謝罪しに行き、今後の対応について話し合いましょう。

なんでも拾ってくる

近所を徘徊しては、ごみ収集車などから何でも拾ってきます。部屋に隠しておくこともあり、不潔です。押し入れから大量の落ち葉が出てきたこともあります。

原因

認知機能の低下により、判断力が衰えます。他人にとっては価値がないものでも、自分にとっては大切なものに思えて拾ってきます。

対処法

家に置いても、支障がない場合は本人に好きなように任せるやり方があります。
不潔なものでも生活に不都合な場合は、就寝中など本人が気づかないうちに処分します。万が一、処分されたことに気づいたらさらりと謝罪します。また、危険物などですぐに取り上げる場合には、少し見せてくださいと頼んで受け取る方法もあります。
無理に取り上げようとすると、興奮して症状を重くすることがあります。

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