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問題多い「介護ミス」による事故(前編)
問題多い「介護ミス」による事故(前編)

問題多い「介護ミス」による事故(前編)

「転倒や転落による事故」「誤嚥事故」のパターンを見ると、一見介護側に責任はなく利用者が自分で起こした事故だという主張が通りそうに見えます。
事実、裁判にまでなった事件でも、なかなか介護側の過失と事故との因果関係が証明できないという場面がありました。
これは世間一般が介護職の専門性を認知してこなかったことと関係があると思います。
一方、時代は少しずつ変化しています。家族が介護するのが当たり前であった時代は過ぎ介護をプロの手に委ねることが当たり前になりつつある現在では「介護職にある人間が負うべき責任や義務」が問われるようになりました。

介護職の人は、「言い逃れが出来なくなった」とマイナスにとらえるのではなく、自分たちの専門性が認められてきたことを喜び、だからこそ義務や責任をしっかり果たさなければならないと前向きにとらえて決意を新たにするべきなのです。
しかし、現在の実情は誰から見ても事故の原因が介護側のミスによるものと分かる時でも、事業所がその事実を平然と隠す行為を行なっているケースがあります。これは大きな問題です。

おむつ骨折や表皮剥離

「介護ミス」による事故の代表的な例は、骨折をさせてしまうことと皮膚に傷を与えてしまうことです。
よくある例は「おむつ交換骨折」と言われるものです。
これは利用者のおむつ交換をするときに、体を動かせますがその時に大腿骨を骨折させてしまうというものです。

また移乗(ベッドから車椅子に乗り移ったりするとき)や、体位交換の時に利用者の皮膚に傷をつけてしまったり(表皮剥離などがあります)、内出血を起こしたりするケースが介護現場の事故として目立ちます。
高齢者でしかも要介護の認定を受けている人は、骨や血管や皮膚がもろくなっています。ですから、高齢者の身体介助には十分気を付けることが求められます。利用者本人のリスクと関係なく高齢者の身体介助は十分に気を付けなければなりません。
こういうことは分かっているはずなのに、事故が後を絶たないということは介護者側に技能の未熟さがあるか集中力が欠けているからにほかなりません。
最初に述べた3つのリスクの内の「介護する側のリスク」に十分注意しなければなりません。

介護スタッフの動きを追う

スタッフの集中力が途切れるのは、現場でどのようなときであるか考えてみます。
体調不良とか夜勤明けは集中力が落ちるのは当然ですが、それ以外にも重要なことがあります。
それは、職場の人間関係や連携の問題です。例えば職場内で十分な連携がない場合、他人には任せられないと思い全てを自分がしなければならないと思い込みます。
その結果、一人の人が沢山の仕事を背負い込み、ここのおむつ交換が終わったら次は隣の部屋のトイレ介助だと、次々と頭が先走り先のことばかり気になりながら現在の仕事をこなしているので、目の前の仕事がおろそかになります。

多くの介護士が言うことには、2つ先までの仕事のことを考えると、目前の仕事の手際が急に悪くなって介護ミスを犯すことになるといいます。
このことを考えると、勤務時間内のスタッフの動きを5分から10分刻みのタイムスタディで調査し、データ化することが緊急の課題となります。
それを見ながらシフトを考えたり、チームの連携の強化を計ったりすることが求められます。

司令塔を現場に置くことが大切

スタッフの業務をデーター化したとして、そこで気を付けなければならないことは「移動距離」の問題です。
もしも、ある業務から次の業務に移る時に移動時間が長くかかるとしたら、それに携わっている介護者の集中力が移動の前後で低下してしまう危険性があるからです。
こうした移動業務が増える時間帯があったとしたら、できることならベテランの管理者を一人現場において「現場の司令塔」になってもらうことです。
そして長い移動距離が必要になった時点で、近くの動けるスタッフに介助の指示を出します。
もしスタッフに余裕がなければ、自分自身が手助けをします。

介護の現場では人手が足りず、こうした「遊軍」的な人材を置く余裕がないかもしれません。
そういう時はベテランのOBを非常勤で雇ったり、現場の仕事にも通じている事務方のスタッフを投入するのもいい方法です。
現場で頼れる人が全くいなくなるというのは問題です。例えば、施設の夜勤明けや訪問介護の現場などでは、自分しか頼れる人がいません。
特に訪問介護の場合は、身体介護と生活援助を同時に行わなければならないことがあります(お風呂に湯を入れながら、衣服を脱がせる等)。
こんな時、前以ってデーター化した「動き」をスタッフに示しておくだけで、危険がどこにあるかを知り事故のリスクを減らすことが出来ます。

環境が変わった時の注意点

現場の環境が大きく変わった時に、現場ではスタッフの集中力が欠如してくることがあります。
現場の環境変化にはどんなものがあるかというと、シフトが変わった時、設備の新設や改装がなされた時、現場のケアに新たな仕組みが導入された時などがあります。
新しいものに不慣れなことが危険を招く場合がありますが、逆に緊張感で集中力が増すということもあります。

本当に危険なのは、新しいことに「慣れ始めた時」です。
例えば、新しい機能の付いた車椅子が導入されました。
最初の内は慣れない車椅子を扱うことで、緊張感が出てそれがほかの業務全体に広がることがあります。
しかし少し慣れ始めると、反動も手伝って集中力が一気に落ちるケースがあります。
慣れたと思っていても、まだ体の方で覚えきるまでには至っていません。そこで事故が起きるというわけです。
慣れが起き始めたら(私語が増えたり、口数が多くなったりすると)、それは集中力の欠如の現れです。
前項で述べた、司令塔役の管理者が集中的に現場を管理していくことが必要になってきます。

褥そう・感染症の防止に直観力と想像力

介護現場につきまとうリスクに褥そう(床ずれ)と、感染症があります。
感染症で多いのはインフルエンザと食中毒です。これらも介護側の「緩み」が原因になっていることが多いのです。

施設では、専門の防止委員会を設置したり、手洗いや体位交換・栄養補給のマニュアルを作ったりして、これらのリスクに対処しています。
しかし、これを徹底して実行したとしても、それだけでは防ぎきれないものがあります。
もう一つ大切なことは、現場の職員の一人一人が、常に自分たちの心の緩みがリスクを引き寄せるのだという自覚を持ち、リスクが現実になった時どんな重大な結果をもたらすかということを想像する必要があります。
直観力と想像力が大切です。褥そうを例にとって考えてみると、利用者の食事の摂取量が落ちている、寝返りが自力でしにくくなっていると気づいたら、すぐに「褥そうの危険性が高まっている」と直観を働かせねばなりません。直観力や想像力が重要になるとはこういうことなのです。

送迎時の事故・施設の火災に注意

最近は送迎中の交通事故や施設の火災がいくつも報告されています。
これは一見介護の事故とは関係がないように見えますが、そうではありません。こうした事故を防ぐのも介護事故防止と基本は一緒なのです。

例えば送迎の場合、事前にどの道を通るかはわかっています。そうなれば見通しの悪い交差点はどこか、雨の日にスリップしやすい道はどこかが分かるはずです。それを事前にアセスメントすることはできるわけです。
また、いつも使っている車両なのですから、車の整備が出来ているか、リフト操作で予想される乗降時の危険はどこかも予測できるはずです。
そこで、事前にマニュアルを作成して事業所や施設全体の意識を高めておきます。
火災についても、消防署で配られたマニュアルだけに頼っていては駄目です。
職場の人々が一丸となって、自分たち自らの視点で避難経路を確認することが、いざとなった時の避難誘導をスムーズに行うのに役立つのです。

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