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介護現場でのドラブル防止(後編)
介護現場でのドラブル防止(後編)

介護現場でのドラブル防止(後編)

介護現場で、利用者の所有する財産や権利を侵害したり、サービスの提供上何らかの不利益を与えてしまうことを、ここでは「介護トラブル」と呼ぶことにします。「介護トラブル」は、多々発生しています。
身体的な被害は生じていないものの、「介護トラブル」に対しても、普段から対策を講じておかないと、利用者との感情のこじれから、損害賠償を請求されることになるかも知れません。
「介護トラブル」と「介護事故」は、発生する原因において共通するものが多く、介護トラブルを甘く見ていると、将来大きい介護事故に結びつく危険性をはらんでいます。

介護トラブルとしてどんなものがあるかというと、下記の5つのケースです。
1.契約違反(サービス提供が、「契約・計画」通りに行われていない)
2.権利侵害(利用者の権利・人格を侵害する)
3.物損・財産侵害(利用者の所有物を破壊・財産を侵害する)
4.対人トラブル(利用者同士のトラブルに正しく対応しない)
5.苦情処理の不備(利用者の不満・苦情に対応しない)

こうしたトラブルが発生しているということを気づかない事業所や施設があります。
それが、のちに大きな問題に発展することがありますから、事業所や施設は、まず問題を正しく把握するように努めてください。

物損や紛失のケース

物損や紛失というトラブルは、介護現場では切り離すことが出来ません。いつもつきまといます。
例えば、ディサービスの時、入浴のための着替えの洋服を失くしたとか、他人の物と取り違えたとかは、よくあることです。
在宅介護の場合は、洗い物をしていて、お茶碗を壊したとか、掃除機で花瓶を壊したとか、そういった物損がよくあります。
現場の介護者が集中力を欠かないようにするということで、ある程度、ミスを減らすことはできますが、スタッフも人間ですから「つい」とか「うっかり」とかはあるものです。

その中で、少しでもミスを減らそうと考えれば、やはり事前のアセスメントが重要になってきます。
訪問介護の場合は、事前に、現場の管理者が訪問宅を訪ねて、壊れやすい物はないか、リスクの発生しそうなところはないかと、チェックします。
壊れそうなものがあったら、家族に話して、片づけておいてもらいます。
家族は、そこまで指示されるのは嫌だと思うかもしれませんが、事前にリスクをちゃんと説明しておいた方が、後々のためになるのです。

紛失のケースでは、よく、「預かった・預からない」の押し問答が繰り返されることが多いのです。
貴重品はできる限り持って来ないようにしてもらいます。もし、やむを得ず持ってくる場合は、事務所で預かってもらうようにします。事務所では金庫に入れて保管します。
「預かった・預からない」の押し問答にならないためには、記録をとっておくことが大事です。

着替えの紛失や、他人の物との取り違えを防ぐには、利用者の名前を書いた専用の袋に着替えをまとめて入れてから、預かるといいでしょう。
洗濯の時は、名札を付けた紐などで、一人分ずつくくっておきます。
そして、専用の記録帳を用意して、預かった時、洗濯機に入れた時、乾燥機に入れた時、利用者の元に届けた時に、それぞれチェックを入れます。この工程表で、今、どこに物があるかが分かります。
「預かった・預からない」の押し問答を防ぐためには、預かる時と返すときに、何か一言言葉を付け加えることも有効です。
そうすると、印象が鮮明になって、覚えやすいのです。

利用者同士のトラブルを防ぐ

施設やディサービスでは、利用者同士のいさかいがよく起こります。
もしも、喧嘩になって、けがなどが起きると、事業所の管理責任が問われることになるのです。
利用者同士のトラブルについても、事前に入居者のアセスメントがきっちり出来ていれば、トラブル防止の大きな力になります。
アセスメントでは、利用者本人の趣味や生活歴や家庭環境だけを聞くのではなく、介護者が、AさんとBさんは仲が良くないと気づいたら、それも記録に残しておきます。また、仲がいい人の場合も、記しておきます。

普段から、AさんとBさんは仲が悪いと分かっていれば、なるべく二人を接近させないように誘導することが出来ます。
しかし、二人の行動を制限するわけにはいかないので、偶然接近する場面も出てくるでしょう。そういう時には、ベテランのスタッフに必ず来てもらい、AさんとBさんの間に入ってもらいます。
入居者同士の関係について事前のアセスメントが出来ていれば、トラブルが発生する前に、迅速に対処することが出来、トラブルを予防できるのです。

不満・苦情への対応

「人と人の関係」で成り立っている介護の現場は、些細な感情の行き違いに満ち満ちている場所でもあります。
小さな感情の行き違いが積み重なって、鬱積してくると、不満や苦情が利用者側から噴出してきます。
現場は、濃度の濃い人間関係の場ですから、不満や苦情が出てくるのは、当然といえば当然のことであります。

ここで大切なことは、不満や苦情が出てきたとき、きちんと受け止め、それを解消できるシステムが作られているかどうかということです。
的確に受け止めないと、利用者の不満はどんどん膨らみ、ついには爆発して、訴訟沙汰になることもあります。
特に介護保険制度が改正になる度に、利用者が不利益になって来ているので、言うべきことは言ってやろうという気持ちが大きくなっています。
今までの介護は、利用者の不平不満の解消は現場任せだったのですが、いまや、それではいけなくなっています。
現場任せにしていたのでは、隠蔽(いんぺい)行為が出てきたり、スタッフが早期退職してしまったりするのです。

不満や苦情を処理する流れは「現場から吸い上げる」、「組織のトップが整理し対応する」、「対応結果をフィールドバックする」という3つの基本に沿って行われます。
現場から吸い上げる方法として、よく意見箱みたいなものを置いているのを見かけますが、これはあまり効果がありません。
投書するほどまでになる前に、スタッフが、利用者の言動をよくウォッチングして、不満に気づくことが大切なのです。
利用者の不満や苦情は、一番身近な現場のスタッフに向けられているものですから、スタッフは一番早く、それをキャッチできる立場にあります。それを知った時点で、ケース記録に書き込みます。

ケース記録の中には「本人や家族の訴え」という項目をつくり、その部分は印刷の色を変えるぐらい目立つようにしておいて、そこに記録します。
出来れば、事務方に苦情処理の専門の役職を置くのもいいでしょう。
担当者は毎日記録簿をチェックして、ランク付けしていきます。
緊急度の高い物から、解決していくと、対応の遅れが避けられます。
スタッフは、どんな些細な事でも記録する、隠蔽はしないと肝に銘ずるべきです。

不満・苦情に対処するには、「苦情処理委員会」を設置することが必須です。
「苦情処理委員会」というのは、組織の代表者、理事長・施設長・事業所長などに直属する形で設置されるのが望ましいです。
苦情処理委員会が設置されると、問題が起こった時、委員会のメンバーが、利用者本人や、家族に、ヒアリングを行います。

また、苦情処理委員会には、地域住民の代表とか、利用者の中から選ばれた家族とかをメンバーに加えると、第三者的な性格が出て、いいと思います。
スタッフと利用者の間で、言い分が違う時など、第三者がいることで、事業所がスタッフの味方をしていると思われることが避けられます。
話し合いの後には、必ず、対応結果をフィールドバックします。
場合によっては、途中経過を発表することも必要です。
渦中の本人にだけでなく、広報誌や掲示板で、他の利用者にも公開するのが望ましいです。
勿論プライバシーの問題がありますので、本人の許可をとってから匿名にするのがいいでしょう。
更に、解決が出来た時はうまくいったかどうかの事後評価まで公表するのが理想です。

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