ホームページ / 介護のノウハウ / 介護事故とトラブル / 介護事故対応完全マニュアル(前編)
カイゴジョブ
介護事故対応完全マニュアル(前編)
介護事故対応完全マニュアル(前編)

介護事故対応完全マニュアル(前編)

利用者がけがをしたなどの緊急性を要する事故が発生した場合を考えますと、事前にその時の対処法を、しっかりマニュアル化しておくことが、求められます。対処法をスタッフ全員に徹底させた上で、訓練を行うということが基本です。
緊急性を要する事故の場合は、「利用者の生命の安全を確保すること」が絶対条件です。
急な事故の場合、スタッフ側が、とっさに正常な判断を下せないことがあります。
そういう意味で、正しいマニュアルと、常日頃の訓練で、対処法を体で覚えていることが大切になります。

事故対処マニュアルは、3つの基本を押さえていなければなりません。
1.状況観察の方法
2.救命法について
3.緊急時の連絡体制について

この3つの基本を時系列でチャート化します。
マニュアルはけがの場合、容態が急変した場合、火事の場合というように、事故のケース別に作ります。
そして、内容を定期的にチェックする必要があります。
また、緊急時の連絡体制を確保しておくことが、非常に重要になります。
連絡先としては、医師や利用者宅は勿論の事、法律の専門家(弁護士)なども、決めておくことです。

些細な事故でも報告は必須

どんな些細な事故やトラブルでも、現場判断だけで、報告しないのは、いけないことです。
何故なら、後で大きな問題が生じてくる場合があるからです。
例えば、転倒事故で、その場では異常がなくても、硬膜下血腫になっていた場合、数週間後に記憶障害が出てきたりします。

事故処理後にしなければならないことを、順序立てると下記のようになります。
まず、現場のスタッフは、口頭で管理者に事故を伝える。
そのあと、専用の記録シートに事故の記録を残す。
管理者は、自分の判断で、緊急管理マニュアルに書いてあることを、実行していく。
そして、家族への報告に、現場担当者も同行させて行く。

事故が起こった際は、どんな小さな事故・トラブルであっても、報告するということを徹底させます。
よく、現場の判断を優先させるということが言われますが、事故に関しては現場判断を優先させてはなりません。
報告を怠っていると、後で、事故隠しと言われても仕方がないことになるからです。
また、利用者本人に謝罪するのは非を認めたととられるのでよくないと言われますが、その後の利用者側の感情を考えると謝罪も「リスク管理」の一つと言えます。

対応がまずかった実例

ホームヘルパーが利用者の家で、食器を洗いました。その時、手が滑って、お茶碗を割ってしまいました。
そのお宅には、利用者だけしかいなく、ヘルパーはすみませんと利用者に謝りました。
利用者は快く「大した茶碗でもないから、大丈夫だよ。いいよ。」と言ってくれたので、ヘルパーは利用者の好意を汲み、事態を大げさに考えなくてもいいだろうと、事業所に報告しなかったのです。
また、いざとなれば自分で新しいのを買って弁償すれば済むだろうと考えていました。

ところが、ヘルパーが帰った後に帰宅してきた家族が、お茶碗がないことに気づきました。
本人に聞くと「ヘルパーが割った」といいます。
家族は、そのうちに事業所から謝ってくるだろうと思って待っていたのです。
ところが、事業所の方では、報告を受けてないので、そんなことは知りません。家族は何の謝罪もないことに腹が立ちました。そして事業所に抗議しました。
事業所では、ヘルパーから知らされていなかったので、寝耳に水状態です。
そのうち、利用者が「ヘルパーがその場でも謝らなかった」と言い出し、家族の不信感は頂点に達し、契約を打ち切ってしまったということです。

報告を徹底させるためには

お茶碗を割ったということは、物損事故と言えます。この事故への対応について改善点は下記の3つでしょう。
1.事業所への報告が出来ていない(ヘルパーに対する指導が悪い)
2.いざとなれば自分で弁償する(これは隠蔽工作となる)
3.謝罪が現場任せとなっている。

2の弁償した場合のことを検証すると、家族は、買って返せばいいと思っているのか、と、逆に不信感を抱くかもしれません。
また、事業所がヘルパーに負担させて責任逃れをしようとしているのではないかと、これも、不信感の原因になります。
いずれにせよ、お茶碗を割ったという小さな事故が大きい結果を招くことになるわけです。

こういう事例を説明して「何故、事故はどんなに小さくても報告しなければならないか」ということを教えなければ、ただ「報告せよ」「記録を書け」と言っても、士気が上がらないと思います。
多くの施設や事業所で設けている「リスクマネジメント委員会」の仕事は、こうした事例をできるだけ多く集め、現場のスタッフに、それをいかに徹底させるかを考えることだと思います。

利用者家族との信頼作り

家族との関係で大切なことは、事故が起こってから親しくコミュニケーションをとるというのでなく、しっかりと日常からコミュニケーションをとっておくことです。
日常の信頼関係の上に、事故後の密なコミュニケーションを重ねるという二段構えが有効です。

では、日常的なコミュニケーションはどうしてとればよいのでしょうか。
1.まず、現場の管理者が家族と顔を合わせることがあったら、利用者の状況を伝える。
2.会う機会がない場合は、連絡ノートや家族への手紙で定期的に利用者の状況を知らせる。
3.ひやりはっとが起こった場合は、家族に過度の心配をかけない程度に報告する。

事故が起こった場合は、下記の対応がよいでしょう。
1.緊急対応が終わって30分以内に、代表者が家族に第1報を伝える。
2.第1報でしっかり現況を伝えたうえで第2報は、家を訪問して伝える。
3.訪問の時は、施設の代表者、現場管理者、以後、連絡の窓口となる専門の担当者を同行させる。
4.連絡の窓口の担当者は、最低、1日に1回は利用者の状態を報告する。

事態把握をスピード化して、再発防止を図る

現場での事故発生の時は、何よりも緊急対応を優先させます。
現場での処理が一段落した時に、まず口頭で、上司や管理者に事故の詳しい内容を報告させます。
簡単な事情聴取が終わったら、事故記録を書かせて提出してもらいます。
事故記録の提出は、原則的にその日にします。
何故なら、同じようなリスクが事故現場に潜んでいる可能性があるからです。次の事故を起こさせないために、スピードが必要です。

スタッフが未熟で記録を書くのに手間取ったり、他の業務がかさんでいたりする場合は、ベテランのスタッフをつける必要があります。
本人を補佐したり、チームで記録作成に当たるのもいいと思います。
口頭の報告を聞いた管理者がこれは重大な事故だと判断した時は、本人の業務を他のスタッフに任せ事故記録の作成に専念させます。
又、臨時のプロジェクトチームを立ち上げて問題解決に当たることも考えられます。
同時に、素早く対応したいのは、利用者家族に情報を公開することです。その日のうちに事故の説明をし、記録が出来たらそれをもって家族に説明に行くことです。

きらケア派遣

注目の記事

介護現場でのドラブル防止(前編)

介護現場でのドラブル防止(前編)

介護現場で、利用者の所有する財 …

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です