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介護事故・トラブルをなくすための一歩(前編)
介護事故・トラブルをなくすための一歩(前編)

介護事故・トラブルをなくすための一歩(前編)

リスクの管理はトップダウンではだめ

事故やトラブルを防ごうとする場合、現場ではまずリスクマネジメント委員会を設け、事故の記録シート等を作ったりして、現場内に起こった事例を記録することから始めます。
また、事故の多い部署に、人員を多く配置したりして、事故の再発防止に努めたりもします。
その他色々方策はありますが、それ以前に、何故それをやるのかという動機付けがないと現場の介護者たちは動きません。
事業所や施設のトップには、事故のないようにリスク管理を徹底的にやらなければ、ゆくゆくは事業所に対する悪評が立ち、人々に敬遠され、はては入所者が減り、収益に悪影響を及ぼすという危機感があります。

しかし、実際に、いろいろ具体的な事故防止方策を考え、実行するのは、現場のスタッフ達です。
現場のスタッフ達にしてみれば、現場のことをよく知らないトップの人が、やいのやいのといってくると、そうでなくても人手の足りない忙しい現場ですから、余計な仕事が増えると、反発する場合もあります。
こう考えた時、リスク管理は、トップダウンではだめ、トップは現場の一人一人のリスクに対する不安な思いをくみ取り、一緒になって考えていかなければならないのです。

ケース討論会は動機づけに有効

事故やトラブルの防止を、トップダウン方式にしないために、ケース討論会というのを作るといいと思います。
それも、意見が出しやすくなる少人数制が、有効です。

少人数を単位にすると、本音も出てきやすくなります。労働環境に対する不満なども言いやすくなります。
現場で起きた具体的なトラブルも、一人ひとりに語ってもらえます。
その時に「何故それが起きたか」という分析も行います。WHYを当事者本人に考えてもらいます。
出てくる意見は、おそらく、人手が足りないとか介護環境が悪いとか時間がないとか自分の力不足といったことでしょう。
では、どうしたらいいのかを、現場の人たちに考えてもらって、アイデアを出してもらいます。
そうやって、自分で考え自分でアイデアを出す習慣をつけてもらうことが大切なのです。

1.トラブルを報告
2.原因を分析
3.アイデアをだす

この三段階がとても重要です。
これを常に繰り返すことで、現場で働いているスタッフに、動機づけができ、トップダウンでない、真の意味のリスク管理ができるのです。

事故やトラブルには三つの要因がある

動機づけが進んでくると、システムとしてのリスクマネジメントが必要だと思うようになります。
といっても、システムを漫然と作ったらいいというものではありません。
根本解決には何が必要なのかということを考えつつ、システム作りに入っていかねばなりません。
ところで、システム作りで、最も大切なことは、事故やトラブルを防ぐための、根本の原則は何かを考えることです。

一番目は、事故が起こる原因の第一は、利用者に対する理解が足りないということです。これを「本人リスク」といいます。
二番目は、介護する側の人への理解が足りないということです。これを「介護者リスク」といいます。
三番目は、【本人リスク】も【介護者リスク】も、まわりの状況や環境によって、変わっていくということへの気づきが足りないということです。これを「環境・変動リスク」といいます。

リスクマネジメントに取り組んでいる多くの現場で、本人リスクについて考えることは進んでいますが、
あとの第二、第三のリスクについては、まだまだ考えられていないというのが実情です。

事故やトラブルを無くす3つの原則

事故やトラブルを防ぐのに何が必要なのかを、前項であげた三つの要因に沿って掘り下げてみます。

一番目の「本人リスク」では、現在の本人の身体状況や精神状況をきちんと把握することは勿論ですが、それだけに留まっていてはいけません。
本人が過去に過ごしてきた人生そのものや、今どんな生活を希求しているかという「生活への意向」も把握している必要があります。そして、それを、ケアマネジメントに反映させていく必要があります。
本人の「すべて」を把握してケアをすること。
そして、今行っているケアが、その人にあっているかどうかを、もう一度考えなおしてみる必要があります。

二番目の「介護者リスク」では、介護者の現在の身体的状況、例えば、年齢、体力、病気の有無などを、考慮しなければなりませんが、それに加えて、「現在の心理」に焦点を当て考えることも大事です。
例えば、介護者が何かしらの不安や悩みを抱えていたとしたら、集中力がなくなり、利用者に対する配慮もなくなります。
そうした場合に事故やトラブルが起こりやすくなります。
というわけで、職員のメンタルケアは十分に行わなければなりません。

三番目の「環境・変動リスク」では、利用者と介護者が置かれている環境リスクはないかと環境に目を向けることに加えて、利用者と介護者の関係が時間とともに変わっていくことを踏まえつつ、そこに何らかの「リスク」が生じていないかとみていくことが大切です。

3つの原則が確立していないとどうなるか

3つの原則の内、どれか一つでも欠けると、一見システムがしっかり整っているように見えても、リスクマネジメントは危ういものになります。

たとえば、まだ目の覚め切らない利用者が、ぼんやりとした頭のまま、トイレに行った。
その時、転倒したり、ベッドからずり落ちたりすることがよくあります。
そこで介護者は、利用者の排泄パターンを記録し、それに基づいて、介護者が利用者の介助にタイミングよく入れるように夜勤のローテーションを組みました。
又、昼間の理学療法士の治療計画も見直し、利用者が夜ぐっすり寝られるようにもしました。
これが功を奏して、最初は事故件数が減ったのですが、しばらくすると、また事故件数が増えてきたという例があります。

これはどういうところに原因があるかというと、最初は、事故防止に取り組むことに意欲をもやした職員も、慣れてくるに従って、気が緩んできたのです。
見守り体制が次第に緩くなってきて、元の木阿弥になったのです。
「慣れ」によって、油断が生じるというお決まりのパターンです。
また、「慣れ」の上に安住して、利用者の状況が変化して、認知の度合いが進んでいたということに気づかなかったという場合もあります。油断は禁物です。

本人のリスクをきちっと把握し、適切なケアをしていくということは、現在ではかなり実行されています。
しかしそれを長く実行していくうちに、介護側が慣れを起こしてしまって、マンネリズムに陥ってしまいます。
その時事故は再び発生するのです。

これは、第2の原則「介護者の心理に注意を向ける」という点が、見逃されていたのでした。
介護者の状況を把握し、場合によっては、職員の待遇や職員配置を変えていくということにまで、及ばなければならない時もあるのです。
そうすることによって、「事故防止に向けたモチベーション」が上がっていきます。
慣れから来る油断が、介護者の環境が変わることによって、避けられるのです。

あと一つの問題は「利用者のリスク把握」ですが、利用者にどんな変化が現れた時に、利用者記録を更新するかということを決めておかねばなりません。
たとえば、認知症が進んできたとして、その事実は一応記録されます。
けれども、それと、転倒や転落との関連性に気づかず、その危険性を介護者が見損なってしまうということが起きるのです。
時間の経過とともに変わっていくリスクを常に頭に置いておくことが大切です。

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