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リスク管理は生活の質を落さない
リスク管理は生活の質を落さない

リスク管理は生活の質を落さない

生活の向上につながるリスク管理

リスクマネージメントを強化しすぎると、利用者の生活の質が下がるという神話が、いまだに一部の介護現場で囁かれています。

この言葉の意味するところは、二つあります。一つは、あまりにも行き過ぎたリスク管理をすると、利用者の生活に沢山の制限がかかり、利用者が身動き取れなくなるという考え、二つ目は、職員が、リスク管理にばかり神経質になりすぎて、利用者の希望に気を配ることが出来なくなるということです。

しかし、この言い伝えは、リスクマネージメントということを正しく理解していないところから来るものです。リスクマネージメントの真の目的は、利用者の生活の質を上げることなのです。だから、リスクマネージメントを強化して、利用者の質が下がったとしたら、それは、間違ったリスクマネージメントをしているということになります。

例えば転倒防止を例にとると、その人の日常生活動作(ADL)を拘束するというのでは、意味がないのです。その人がどういう理由で転倒したのか、例えば、何か自分に興味があるものを取ろうとして立ち上がって、転んだのか、一人でトイレに行こうとして転んだのか、そういうことまで見えていなければならないのです。そういう風に考えれば、単に行動を拘束するだけでなく、もっと利用者に沿ったリスクマネージメントが可能になります。

リスク管理の基本は利用者の人生を知ること

転倒防止のことを少し掘り下げて考えてみましょう。

転倒防止を防ごうという気持ちの中には、利用者のADL(日常生活動作)をできるだけ長く維持させてあげようという気持ちがあります。

ADLを維持するには、リハビリプログラムが欠かせません。リハビリというのは本人が自発的にしなければ、どうにもならないものです。もともと体の不自由な利用者が行うのがリハビリですから、体を動かすのがおっくうな利用者は、リハビリが嫌いという人が多いのです。それを、職員が無理にさせるというのは、それこそ無理な話です。本人の前向きな意思を呼び起こし、本人の意思によって自らするというというところまで、もっていかなければなりません。

そうするためには、それなりの「動機づけ」が要ります。散歩がしたいから、転ばないようにリハビリしようとか、死ぬまで自分で自分のことはしたいから、リハビリしようとか、何かの思いがあれば、自ら進んでリハビリをするようになるでしょう。

その動機づけのために、どんなことを利用者に語りかければいいのか、それを知るためには、利用者の歩んできた人生を知ることが大切です。

だから、リスク管理の基本は、相手の歩んできた人生を知ることだ、となるわけです。

生活志向型ケアとリスク管理

国の介護制度改正の中に「利用者の生活機能の向上」という項がありますが、その中に、「利用者の人生観や希望」というものに目を向けた観点がありません。そういうものをシステムの中に組み入れていくという発想がないのです。国の施策に欠けているものを、現場でフォローするということは少ないのです。

前項で述べたように、どうすれば利用者がリハビリに励んでくれるのかと、試行錯誤している介護者は大勢います。しかしそれは、現場の「掟」によった、非公式のものに終わってしまっているのです。

今では、施設でも在宅でも、「本人の志向」をケアプランに反映させようとすることが、主流になっています。ところが、そうしたケアプランが、リハビリプログラムと全く連動していないのが実情です。これでは、何の意味もありません。「本人の人生観や現在の生活への思い」が、リハビリプログラムに連動していないだけでなく、リスクマネージメント全般とも連動していないのです。

こんなことでは、事故やトラブルを防ぐことが出来ないのは、当然のことなのです。

介護者側の気持ちにも目を向ける

リスクマネージメントにおいて、もう一つ重要なことは、スタッフ側の心理にも目を向けるということです。介護というのは、あくまでも、介護現場のスタッフと、利用者の人間関係で成り立っています。だから、人間関係、ひいては、介護スタッフ側の心理状態と利用者側の心理状態が、どのようになっているかに、気を配らなければなりません。そうすることが、事故やトラブルの回避に繋がるのです。

例えば、こんな例があります。ある日、一人のスタッフが、利用者に対して不快感を抱きながら働いていた。そのスタッフは、利用者に対して、つい非難めいた言葉を発してしまった。利用者は、その言葉を不快に感じ、介助する手を払いのけようとし、はずみで転倒してしまった。

この場合、スタッフに対して非難の声が上がると思います。介護職の人間が何たる狭量な心を持っているのかと。しかし、よく考えてみれば、介護者も一人の人間です。感情がぶれることもあるのです。そういった時、もしも介護者の心の動きを見つめる目があれば、シフトを調節して、双方が気持ちよくできるようにシフトを変えることも出来たのです。つまり、介護者の心の動きを見つめることも、事故やトラブルを防ぐ大きな要素になるのです。

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